2018年10月13日J2リーグ第37節、アルビレックス新潟はヴァンフォーレ甲府と対戦。
0-0で引き分けたため、今節にてプレーオフ圏内である6位以内に入ることができなくなった。
すなわち、2018年シーズンでのJ1復帰は叶わなくなり、当初掲げていた「1年でのJ1復帰」という目標を完全に失ったことになる。
15年振りとなるJ2でのシーズンは第4節まで負けなしも、その後7節から4連敗・25節から6連敗を筆頭に敗戦を重ねてしまう。ホームであるはずのビッグスワンでは5ヶ月半も勝利できなかった。
わずか2ヶ月の間にキャプテン磯村選手のシーズン途中でのV・ファーレン長崎への移籍、鈴木政一監督の解任、木村康彦強化部長の解任、神田勝夫氏の強化部長就任、社長の今シーズン限りでの退任が発表される。
6月以降は勝ち点をなかなか積み上げることができず、31節には19位まで順位を落とした。
私の目には負のスパイラルに陥り、順位以上にチームはバラバラになったように見えた。
4連勝をして終了した2017年シーズンの最終戦、ビッグスワンを周回する選手たちを姿を見て、私はどんなに苦しいシーズンであっても一丸となって闘えると信じていた。
しかし一枚岩になっても昇格できるか分からない厳しいJ2リーグにおいて、私たちはあまりにも脆すぎた。
監督の采配を信じることができない。
選手を信じることができない。
発信のないクラブに不信感を抱いてしまう。
特に降格する数年前からクラブの意志決定の不透明さには疑問があった。
今シーズンも3年連続の監督交代という異例な事態にも関わらず、公式にはテンプレートのような発表しかリリースされない。
敗戦が重なっていった際もあくまでもJ1復帰なのか、鈴木監督に託しチームの基盤を作ることに優先するのかという重要な判断も見えなかった。
私自身は負け続けて好転しない状況の中でもクラブを信じていたかったのだろう。
目の前の試合を全力で闘い続ければ、結果はついてくると。
そのために一試合でも多く現地で観戦して選手たちを後押しする。
クラブのグッズを購入し、スポンサー企業のものを買うようにする。
関東でイベントを企画実施してサポーターを盛り上げる。
今まで通り自分にできることをやって来た。
しかし、ピッチとスタンドの距離以上にかけ離れてしまった選手とクラブ、サポーターの距離感に気づいていながらも、この距離を縮めるために必要なアクションを起こせなかった。
私にも葛藤があったがクラブにも葛藤があっただろう。
何年も前から膿を抱えたままシーズンを闘い続けてしまったに違いない。
降格しても膿を出し切ることができないまま昇格争いから脱落し、相手チームのアナウンサーの「強豪新潟」という言葉だけが一人歩きをするようになってしまった。
サポーターの心も疲れきり、それに比例して観客動員の落ち込みも顕著になった。
凍りついたクラブが雪解けの兆しを感じたのは、今シーズンでの社長の退任と同日に発表された是永さんの専務取締役に就任である。
是永さんはアルビレックス新潟シンガポールの代表取締役社長であり、アルビレックス新潟の取締役であった。
Twitterなどの発信もサポーターへのレスポンスも早く、外から見えないアルビレックス新潟というクラブへの熱い想いを発信し続けてくれた方である。
是永さんが専務取締役に就任してからというもの、クラブ全体で様々なアクションを起こしやすい雰囲気を作ってくれた。
・ホニの問題の説明
・サポーター発のグッズの商品化(#グズつく)
・企画のアイディア出し(#ラブアルビ)
・広報さんのInstagramスタート
・選手の発信の活発化
など・・・。
是永さんが素早くレスポンスをくれるようになって、おかげで下を向きがちであったサポーターも心に引っかかっていたものが少しずつ取れ、前向きな気持ちで応援できるようになった。
愛媛戦では勝利できなかったものの、テレビを通して選手のひたむきさとサポーターの応援が呼応しているように感じた。
5年振りの5連勝は選手とサポーター、クラブが一体となって闘って積み重ねた結果ではなかっただろうか。
ここ数試合でサポーター発信で恒例になっているものがある。
それは、みんなで肩を組んで歌う「ハルヲスイング」。
選手と一緒に歌いながら、ヒーローインタビューで遅れて来た選手を待ち、合流したところで5回のバンザイをする。
8月ではこんな光景、想像もつかなかっただろう。
選手たちは下を向いて目を合わせてくれることも少なかった。
そんな姿を見て私たちも辛かったし、どこに向けたら良いかわからない想いでいっぱいだった。
やっとクラブとして底は見えたと思う。
あといくつ順位を上げられるか分からない。
たくさんの犠牲を払って、私たちはやっと一つになれた。
そんな折、2018年10月12日に開催されたキリンチャレンジカップ。
4年振りにビッグスワンで開催された日本代表の試合にアルビレックス新潟の選手が選ばれることはなかった。
38,000人が湧くビッグスワンの映像を眺めながら少し寂しくなった。
私はアルビレックスが「新潟」にとって希望の星であってほしい。
選手が子供たちの憧れるヒーローであってほしい。
ビッグスワンが夢を抱ける空間であってほしい。
アルビレックス新潟は2019年もJ2リーグで闘う。
クラブの財政的にも今シーズン以上に苦しいに間違いない。
それでも選手とクラブとサポーター、そして新潟という街が肩を組んで共に闘っていければ、きっとJ1に行ける。
この苦しいシーズンが1年後の希望に繋がるよう、まずは残り5試合、サポーターとして新潟の誇りを示したい。