マチココロ

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Jリーグ アルビレックス新潟

このメンバーで証明したい。

2022年シーズンのJ2リーグ優勝により、アルビレックス新潟は2023年シーズンをJ1リーグで戦うことになった。

カタールワールドカップの開催に伴いいつもより長いオフシーズン。移籍市場はしばらく沈黙が続いた。12月に入り各クラブで動きが活発になる中、アルビレックスは2022年シーズンのメンバーがほぼ残留し、4名のみのピンポイント補強となった。

同じくJ1に昇格する横浜FCは主力残留に加えて19名を獲得しており、隣の芝生が青く見えた。シーズンを戦い抜いたみんなと一緒にJ1に行ける喜び、練熟したアルビレックスのサッカーへの期待、J1リーグで通用するのかという不安が入り交じる。1月12日の新体制会見以降、これらの気持ちを抱えていたのは私だけではないだろう。

そして2023年2月17日に川崎フロンターレと横浜F・マリノスのオープニングマッチでJリーグが開幕した。今年同じ舞台で戦うクラブのサポーターとしては対戦結果を含めて気になるところではあったが、レベルの高さに驚愕した。この2クラブと同じ土俵で戦わなければならない。5年間でJ1のレベルが上がっていることを再認識せざるを得なかった。
そして翌2月18日、私は大阪に向かっていた。スタジアムへ移動中の電車内でアルビレックスの公式Twitterからスターティングメンバーのお知らせが来た。

スターティングメンバーに新戦力はいない。5人がJ1初出場。サブに新井が控えるのみ。分かっていたものの本当に”いつものメンバー”でJ1を戦うのだ。監督からのメッセージに思えて気持ちが高ぶった。

このメンバーで証明したい。
アルビレックスのサッカーならJ1でも戦っていけることを。

ヨドコウ桜スタジアムに到着すると、すでに多くのサポーターが参集していた。スタジアムグルメにはどこも長蛇の列。入場するとアウェイのゴール裏はすでにオレンジに染まっている。以前来たときはゴール裏は芝生席だったが座席が整備されており、大きなメインスタンドが建設され、バックスタンドと配置が入れ替わっていた。スタジアムを一目しただけで自分たちがJ2リーグにいた時間の長さを感じた。

思えばJ1にいた2017年の最終戦はビッグスワンでのセレッソ大阪戦だった。あの時に所属していた選手はゴメスしかない。セレッソもメンバーはほとんど変わっているだろう。もう一度セレッソ大阪戦からJ1リーグの戦いが動き出す。もう一度始まるんだ。

今にも雨が振りそうな曇天の中で、真っ白のユニフォームに身を包んだ選手たちがピッチに現れた。
いつも通りの円陣ダッシュでピッチに散っていく。
目の前にあるのはJ1の試合、J1のピッチだ。私たちが恋い焦がれたJ1の舞台。夢ではなく現実になった瞬間だった。

試合開始直後から、これがJ1だと突きつけられるかのような猛プレスに遭った。序盤はボールを取られてしまうのではないかとハラハラする展開が続いていく。アルビレックスの選手たちは動じずプレスをいなしながら、いつも通り最終ラインから自分たちのサッカーを構築していった。
コジのビルドアップも涼太郎のスルーパスも三戸ちゃんのドリブルもいつもと変わらない。

22分にセレッソの隙を突いて先制。J1初出場の谷口海斗の先制ゴール。これぞ新潟という形の先制点。

アルビレックスのゴール裏も喜んで360度みんなでハイタッチを交わしていく。今シーズンは100%動員。すぐ隣にも笑顔があった。
6年振りのJ1でのゴールも束の間、鋭い攻撃で同点にされる。ジョルディ・クルークスのクロスは挙げられた瞬間に勝負ありのピンポイントクロスだった。

セレッソはボールを落ち着ける時間も与えてくれない。自分たちがミスをしていなくても、こちらが隙だと思っていない瞬間を狙って来る。

数十センチのずれがチャンスにもピンチにもなる展開。情報量がとにかく多い。オフザボールもオンザボールも情報量が多すぎてどこを見たら良いか分からない。怖い、でも楽しい。あっという間に前半が終了して1-1で折り返す。

後半も拮抗した展開が続いていたが、セレッソが香川真司を投入。スタジアム全体が息を吹き返す。そして交代カードで好循環を生んだセレッソに75分逆転されてしまう。
セレッソがアルビレックスのサッカーを対策している感覚はなかった。自分たちの良さを発揮しながら、相手をねじ伏せる。チームとしてのウィークポイントだけではなく、個人のウィークポイントを正確に突いて崩してくる。

でも不思議と気持ちは折れなかった。ここからもう一回。大丈夫、絶対にできる。自分の中で血がたぎるのを感じた。
目の前での攻防が続き、オレンジのサポーターもボルテージが上がっていく。そして80分に涼太郎のコーナーキックから千葉ちゃんのクロスで同点。アルビレックスのゴール裏は感情が爆発していた。

ロスタイムはショートカウンターの刺し合いからのアイシテルニイガタ。終盤まで両者譲らず、結局試合は引き分けに終わった。

試合終了のホイッスルを聞いた瞬間、アルビレックスのゴール裏からは拍手が起きた。アルビレックスはJ1でも戦っていける。そんな安堵の拍手だった。

でもモバアルZに映る選手たちは負けた後かのように悔しそうだった。
そうだ、戦えるだけではダメだった。勝てなきゃ日本一を目指せるリーグに残れない。
昨年、私たちに『目の前の敵が最強の敵』と説き続けていた松橋監督がロッカールームで選手たちに送った言葉は『いい試合はいらない。勝つんだ』だった。

J1クラブなら一発で勝負を決める力を持っている。どんなに魅せるサッカーができても意味はない。
すべてのプレーはゴールをするため。
すべての時間は勝つためにある。
私も選手たちと同じ目線で、このJ1リーグを見つめていきたい。

いい試合はいらない。次こそ勝とう。

1)選手の写真はジャイアンからお借りしました。ありがとう!
2)監督の言葉には実は続きがあります・・・!(続きはこちら)モバアルZオレンジプランにまだ加入していない方はぜひ入ってください!
3)大阪の夜はサポーターの仲間達と一緒に飲みました。こういう時間をひっくるめてシーズンが始まった感じがしますね。




-Jリーグ, アルビレックス新潟

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マチ神奈川県川崎市在住、東京都調布市出身。
新潟に無縁だったアルビレックス新潟サポーター16年目、家事代行会社入社8年目。
サッカー観戦、本職のお掃除、サポーターとして経験したこと、新潟のよいところを書いてます。