マチココロ

サッカー観戦と本業のお掃除、新潟のよいところを綴っています。

アルビレックス新潟

夢じゃなくて、願いじゃなくて、憧れじゃなくて

2023年8月30日。天皇杯 準々決勝 アルビレックス新潟vs川崎フロンターレの試合を観戦するため、私は新潟へ向かった。

私が天皇杯準々決勝を参戦を決めた理由は、絶対に勝たせてやるという燃えたぎるような想いというより、このクラブが本当に準決勝へ進めるのかどうか、この目で見届けたかったからだ。歴史の当事者となって、その場に居合わせたいという気持ちが強かった。

思えばビッグスワンを天皇杯で訪れたのは初めてで、閑散としたEゲート前広場も、Eスタンドの半分まで川崎フロンターレの弾幕が並んでいるのも、何だか落ち着かなかった。仕事を半休で切り上げ新幹線に飛び乗り、ビッグスワンへ向かったから、席に着くとまもなくして阿部ちゃんとコジがピッチに出てきた。

見届けたいという気持ちで新潟までやって来たが、実際に試合が始まってみたら、私は形振り構わず応援をしていた。余りの暑さに、ただそこにいるだけで汗が滴り落ちるような状況でも、声を枯らし、全力で飛び跳ねて、真っ赤になるまで手を叩いていた。

そうさせたのは選手たちだし、サポーターのみんなだし、この天皇杯準々決勝という舞台だった。

前半20分まで川崎フロンターレの圧力を受け続けた中で、前半30分に良い形で先制したものの、後半に同点となり、延長後半4分に逆転されて私たちは苦しくなった。

でも、ここでおしまいだねとは誰も思っていなくて。
まだできる、もっとできる、
やりきろう、シュートを打とう、
やり直そう、続けよう、
そういう想いがずっとスタジアムに溢れていた。

あの時間は私の中でもきっと忘れられない時間だったし、
史哉が延長後半ロスタイムに同点ゴールを決めたあの瞬間は、みんなの感情が爆発していた。

史哉のゴールはあの瞬間、あの場に居合わせたみんなの心に残ったはずだ。
そして後年もずっと、あの時のゴールは素晴らしかった、本当に気持ちの入ったゴールだったと語り継がれるだろう。

PK戦で止められてしまったヤンくんやダニーロのことを思えば、本当はあそこでどうしても勝ち進みたかった。
彼らを苦しみから解放するにはきっと同じ舞台で勝ち進むしかなくて、そのチャンスが次にいつ来るのか、その時に今いる選手たちがいるのか、誰にも分からない。
だからこそ、私たちは目の前の試合を一試合一試合全力で戦うしかない。そう言い聞かせた。

でも、さすがにあの試合が終わった後は本当に悔しくて、悔しくて堪らなかった。
暑さと疲労でボロボロになりながらホテルに辿り着き、シャワーを浴び、ベッドで仰向けになって天井を眺めた時に、本当に終わってしまったんだなという虚無感しかなかった。

もっと先に進みたかったし、もっとみんなと夢を見たかったし、新潟のみんなと一緒にこのクラブに星を付けたかった。
簡単ではないと分かってはいるけれど、いつかと思っていたら、憧れで終わらせていたら、その日はきっと来ない。

私たちは、夢を現実にする力が足りなかった。

川崎フロンターレの方が経験値を持っていたし、この舞台をよりリアルに、現実として考えていた。
夢じゃなくて、願いじゃなくて、憧れじゃなくて、目標にしていく。

自分ごとにして、目標を越えていかないと、星は付けられないんだなと思った。
もっともっと、強くなりたい。
もっともっと、一緒に強くなろう。




-アルビレックス新潟

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マチ神奈川県川崎市在住、東京都調布市出身。
新潟に無縁だったアルビレックス新潟サポーター16年目、家事代行会社入社8年目。
サッカー観戦、本職のお掃除、サポーターとして経験したこと、新潟のよいところを書いてます。