マチココロ

サッカー観戦と本業のお掃除、新潟のよいところを綴っています。

アルビレックス新潟

“共に”新潟で挑む

2024年3月21日の正午に出たリリース。
目にした瞬間、私の感情は怒りが占めた。

20年以上応援をしていれば、不義理な移籍をした選手も知っている。

今回の移籍に関しては、開幕して第4節終了時点で、移籍市場が閉まるギリギリのタイミング、ましてや育成型ではない副キャプテンが同じカテゴリーのチームに移籍したのである。

Xにはみんなの心の叫びが飛び交う。
そんな中で私のポストはこちら。

感情を押し込めて押し殺したポスト。
なんとか自分の中の感情を鎮めようとしていた。

移籍発表から数日後、クラブは新しいポスターの作成を発表した。

写真はもちろん見たくなかったし、名前すら聞きたくなかった。
だから最初は思いを汲んでくれてありがとうという気持ちが先行したが、この費用や工数があればもっとクラブは前向きな施策が取れたのに…という異なる気持ちがせめぎ合っていた。

でも、そのポスターに刻まれた言葉は私の心を打った。
新潟ここで挑む」

はっと気づいた。
私たちはアルビレックスのエンブレムを纏ってくれる選手たちと新潟ここでてっぺんに挑むんだ。

私の腹は決まった。

2024年5月3日。
サンフレッチェ広島との試合。
正直、私は心が彼を拒絶して広島のハイライトすら見ていなかった。
同じように心をなかなか整理できない方もいるだろう。

GWということもあり、DAZNの中継を見ている限り、たくさんの方がビッグスワンを訪れていた。お子さんもたくさん来場しただろう。
スタジアムがどんな雰囲気になってしまうのか、いささか心配もあった。

試合は前半から様々なハプニングが起きた。
28分に宮本くんが負傷退場、33分に史哉がVARによる退場で残りの時間を10人で闘うことに。

集中しなければならない時間帯、アイシテルニイガタで涙をこらえる。

ピッチの中で選手達は何度も輪になってすり合わせをする。意志を統一する。10人で穴が生まれないようにコミュニケーションを取り続ける。

試合前にゴメスがみんなに伝えていた言葉が本当にその通り過ぎて、見ていて刺さった。

「長いシーズンやっていればね、なんかこの試合、理屈じゃなく負けたくない試合ってあると思うよ。
俺は今日それだと思うよ。
やっぱり・・・名前は出さないけど俺はやっぱ悔しかった。
このチームで本当にみんなでてっぺん取りたかった。
みんなでしっかり今日この試合に勝って、見せつけてやろう」
続きは#InsideofALBIREXを御覧ください

おそらく私含めてサンフレッチェ広島というチーム自体に因縁を持っている人は殆どいないだろう。
でも、今回のことは本当に悔しくて。
私は広島だけには負けたくなかった。

後半になると63分に彼が途中交代でピッチに現れる。
しかし、スタジアムはアルビレックスのエンブレムを纏った選手たちと一緒に戦っていた。
史哉に代わって11人目の選手として、一緒に戦っていたんだ。

前半からゆずるん、星くんと急遽2枚のカードを切ることになってしまい、残りのカードを切れるタイミングはあと1回。
66分に交代で入るヨシくんもダニーロも長倉くんも、肩を組んでやってやろうという気持ちがテレビ越しでも見えていた。

70分、戦列を離れていた荒木選手に復帰戦で先制点を決められる。
でも、誰も下を向かない。サポーターも声を絶やさない。
絶対にチャンスは来る。
それまで粘って粘って粘り続けた。
そして94分。

遠藤くんからのボールを長倉くんがポストで受けてダニーロにパス。
ダニーロはそのままサイドを突破。
志知選手をわして、塩谷選手を置き去りにして中にクロス。
一度は弾かれたボールを着地点にいたヨシくんがダイレクトでシュートを放つ。
ボールは真っ直ぐゴールへ突き刺さった。
交代で出場した3選手が絡んだゴールだった。

ゴール前には遠藤くん、星くん、秋山、長倉くんを含めた5人の選手が入ってきていた。

勝利したわけではない。
順位が大きく変わったわけでもない。

だけど、私たちはこの試合をきっと忘れないだろう。
選手たちの思いとサポーターの思いが重なり合った95分。
こんなにも新潟を愛してくれる、こんなにもクラブのために走り抜いてくれる選手たちがいる。

私たちはこの先も絶対に大丈夫。
私たちに勇気を与えてくれる試合になった。

6月26日。
今度はサンフレッチェ広島のホームで対戦する。

負けたくない理由がある。
今度こそ勝とう。




-アルビレックス新潟

最新記事

新しい景色を見るために

2024/01/07

1年前。 新体制会見前の私はどちらかというとワクワクではなくハラハラしていた。 2022年シーズンのJ1の試合をDAZNで見ていて、その強度とスピードに戦々恐々としていた、 ゴール前での時間が圧倒的に …

夢じゃなくて、願いじゃなくて、憧れじゃなくて

2023/09/04

2023年8月30日。天皇杯 準々決勝 アルビレックス新潟vs川崎フロンターレの試合を観戦するため、私は新潟へ向かった。 私が天皇杯準々決勝を参戦を決めた理由は、絶対に勝たせてやるという燃えたぎるよう …

このメンバーで証明したい。

2023/02/24

2022年シーズンのJ2リーグ優勝により、アルビレックス新潟は2023年シーズンをJ1リーグで戦うことになった。 カタールワールドカップの開催に伴いいつもより長いオフシーズン。移籍市場はしばらく沈黙が …

私たちはもう一度スタートラインに立てた。

2022/11/11

2022年10月8日J2第40節ベガルタ仙台戦。他のクラブの試合結果により、この試合に引き分け以上なら自力で昇格を決められる。チケットは完売。今季最多の観客数になることは必至だった。 試合当日、ビッグ …

私たちが愛してやまない”新潟の太陽”

2022/09/30

「王様になれるチームじゃないと活きない」 高木善朗が前に所属したチームのサポーターが言っていた言葉だ。 でも私たちにとって善朗は”新潟の王様”ではない。 私たちの心を照らし続けてくれる、私たちが愛して …





マチ神奈川県川崎市在住、東京都調布市出身。
新潟に無縁だったアルビレックス新潟サポーター16年目、家事代行会社入社8年目。
サッカー観戦、本職のお掃除、サポーターとして経験したこと、新潟のよいところを書いてます。