2020年6月27日
約4ヶ月ぶりにJリーグが戻ってきた。
私たちの街にJリーグが戻って来たけれど、スタジアムへ通う日常が帰ってきたわけではない。
最初の2試合は無観客で開催。
その後は収容人数を最大5000人に限定した開催が続く。
新型コロナウイルスのワクチンが開発されていない状況の中で、感染が拡大せずに済んでいるのは、スタジアムを運営する方々や訪れる観客の努力に他ならない。
スタジアム内では飛沫感染を防ぐため、チャントやコールなどの応援はできない。
接触感染を防ぐため、ハイタッチもできない。
ソーシャルディスタンスを保つため、間隔を空けて着席しなければならない。
そんな制限がある中でも、スタジアムへ行ければ、拍手やゲートフラッグ、横断幕で選手を後押しできる。
しかし、県外に住むアルビレックスサポーターの私はそもそもスタジアムに行けない状況が続いている。
緊急事態宣言が発出された時は、日常生活でやっていたほとんどの物事に制限があった。
会社にも行けず、慣れない自宅勤務。
買い物に行く回数も極力減らした。
外食も容易ではなかったし、美容院の予約もためらわれた。
電車に乗る回数は激減し、移動範囲は歩いて行けるスーパーまでになった。
一時は何も手につかなかった。
怖くて家を出られなかったし、考えると不安ばかりが膨らみ、思考を放棄した時期もあった。
外出自粛の期間中、漫画を無心で読み漁ったのも、とにかく現実を忘れようとしていたからかも知れない。
緊急事態宣言の解除から3ヶ月ほどが経ち、ようやく今まで通り、会社にも行けるようになったし、短い時間であれば外でご飯を食べられるようになった。
カフェでコーヒーも飲めるようになったし、近場であれば移動も可能になった。
私自身は、ようやく言葉を紡いで文章に書き起こせるようになった。
非日常からは脱したものの、日常を取り戻してはいない。
今は日常と非日常の間で、サッカーという光が差し込んでいる、そんな感覚だ。
今まではどこに住んでいても自分の意思があれば距離を越えていけた。
関東に住んでいても愛するチームのために集結するみんなに会えた。
それが今は叶わない。
画面越しにサッカーを見る日々が続く。
本当はスタジアムに行きたい。
大好きなスタジアムで、大好きなサッカーを見たい。
今、ビッグスワンに行っても良いのだろうか。
収容人数制限が解除されれば、私はビッグスワンに行って良いのだろうか。
いつになったらビッグスワンに行っても良いのだろう。
過去にない状況の中で、何が正解なのかすら分からない。
みんなもがきながら、自分なりに答えを探して行動している。
私自身、どうやって判断していけば良いか分からなかったが、夫の言葉で前に進めるようになった。
夫に今の状況で色々な件を何を基準に判断していけば良いかわからないと相談したら、「誰もが経験したことがない状況で”絶対に判断を間違えない”は困難。だからこそ、”自分が正しいと思うこと”を人に押し付けないのが大切なのでは」と言われた。ストンと腑に落ちた。
— マチ #首都圏ラボ の人 (@sachi_kuma28) July 11, 2020
4ヶ月ぶりにテレビ越しに見たJリーグの試合は、とても静かだった。
応援が聞こえないスタジアム。
でも、応援が聞こえないスタジアムには代わりに色んなものが聞こえて来た。
選手同士がぶつかる音やボールの音。
選手たちが掛け合う声や、監督の声。
選手の嬉しそうな声も、悔しそうな声もよく聞こえた。
慣れない状況の中でも、選手たちは熱いプレーを見せてくれた。
非日常の中ではあるけれど、そこにあったのは間違いなく、私の大好きなJリーグだった。
Jリーグが再開されて、勝つ嬉しさも、負けて悔しくてやる気が出ない月曜日の朝も戻ってきた。
結果が出れば当然様々な感情が生まれてくる。
昇格したいと思っているなら、タイトルを取りたいと思っているなら、尚更だろう。
私は結果の前にサッカーを見れる、それが嬉しくてたまらない。
その上で抱く感情が懐かしくて、その感覚が心地良くて、サッカーが戻って来たと実感させてくれている。
サッカーの開催できる環境は当たり前ではない。
広島VS名古屋の試合や大宮VS福岡の試合、そして監督に感染が発覚したサガン鳥栖は8/25までチームの活動中止が発表され、3試合が延期になった。
まだまだ油断ならない状況だけど、シーズンオフよりも長い中断期間を越えて、ようやくサッカーのある生活が手の届くところまで戻ってきている。
でも、ここがゴールじゃない。
ここを日常にはしたくない。
私たちの日常はスタジアムでサッカーを見て、選手に声援を送って、みんなで手を取り合って喜び合うことだ。
今はまだ難しいけれど、その日常が帰って来るまでもう少し辛抱しよう。
大好きなJリーグ。
大好きなアルビレックス。
まずは今シーズン、全試合走り抜けることができますように。