2017年12月2日。
2年前の大雪での試合中止が頭をよぎる中、
関東在住の私は新潟行きの新幹線に乗り込んだ。
2週間ぶりのビッグスワン。
現地からはすっかり雪化粧してしまったピッチの写真が送られてくる。
しかし試合に合わせるかのように雪はやみ、試合開始直後には空は晴れ渡っていた。一日の間に天気がくるくると変わる。これが新潟の冬空である。
ピッチの雪はユースの選手達やボランティアによってピッチの端に積み上げられ、緑の芝生が顔を出している。
予定通り試合は開催された。
優勝と残り1枠の降格がどこになるのか注目される中で全ての試合が14:00にキックオフを迎えた。
セレッソはACL圏内の3位、うちは16位以下の降格が決まっている。
しかし展開はお互い一歩も譲らない激しいものになった。
3位を確定させているセレッソに、一歩も引けを取らない試合展開という意味である。
息をつく暇のない攻防が展開されて、
私たちサポーターにも自然と力が入る。
それとともに、時計が進むにつれてさみしさがこみ上げて来た。
サポーターの歓声が地響きのようにスタンドに広がる感覚も、
サポーターの声援に選手が応えてくれる感覚も、
そこにあったのは私が大好きなビッグスワンだった。
たとえ4万人集まらなくても、
J2に降格しても、
このスタジアムとこのサポーターは、
私が愛してやまないビッグスワンの原風景と重なった。
第35節があってほしかった。
もっとこのチームを見たかった。
甲府戦の時は降格を知っても実感が湧かず、ただその場に立ちすくんでしまった。
清水戦の時はとにかく勝利の報を新潟に届けたかった。
そしてセレッソ戦の時は行き場のない気持ちでいっぱいだった。
J2に降格するからと言ってクラブが消滅する訳ではない。
選手が全員いなくなる訳でもない。
それでもこんなに苦しいのはきっと、
アルビレックスが、本間勲がシャーレを掲げた姿を本気で見たかったからだと思う。
どんなに選手を引き抜かれても、
けが人が続出しても、
成績が悪くても、
J1に居ることが出来れば、
シャーレを掲げられるチャンスはあった。
可能性がどんなに低くても、
毎年アルビレックスに夢を見せて貰ってきた。
どこにでもいる平凡な私が日本一の夢を見れるのはアルビレックスのおかげだった。
残念ながら、私たちは来年1年間はJ1の舞台でシャーレを掲げる夢を見ることはできない。
J2リーグはJ1リーグとはまた違う茨の道になることだろう。
それでも私は自分の人生と重ねて合わせて、アルビレックスと共に歩んで行く。
この日の悔しさを無駄にしないように闘い抜くんだ。
そして1年後はみんなで嬉し涙を流そう。
もう一度、夢を叶える舞台に戻って来るために。