アルビレックスは「家族のような温かさがある」クラブだと、言われるようになったのはいつの頃からだったのか。
2017年11月18日アルビレックス新潟はヴァンフォーレ甲府と対戦した。
試合には勝利を収めたもののサンフレッチェ広島とヴィッセル神戸の試合結果がアナウンスされたことでJ2への降格を知ることになる。
勝利でしか残留の可能性がない厳しい状況ではあったが、
正直、勝って降格というのは予想をしていなかった。
突如として降格の二文字とともに、ゴール裏には報道陣が殺到した。
周囲には涙を流す方の姿も多くあったが、
私はすぐに自分の気持ちが見つからなかった。
最下位にいる以上、この日を覚悟していたが、いざ来てみると実感は全く湧かない。
目の前にいる愛するクラブはこの時点では何も変わっていないのだから当然のことかも知れない。
選手に何て声をかけたら良いのだろう。
そう思いながら、反対側のスタンドからゆっくり周回してくる選手をただただ眺めていた。
ゴール裏まで選手がやって来た時、言葉より先に拍手をした自分がいた。
拍手をしよう!と思ったわけでもなかった。
しかし同じ答えを見つけたサポーターたちの拍手が重なり合い、スタジアムは温かい拍手で包まれる。
少なくとも周囲には選手を非難する人はいなかった。
今回の降格という結果をプロとして選手とフロントに責任を問うならブーイングをしてもやむを得なかったと思う。
しかしアルビレックスのサポーターはみんな歯を食いしばって拍手を送り、選手を激励していた。
これが、新潟らしさなんだと思う。
選手をプロである前に、人として見つめている。
ひとりの人間として想いを受け止め、ひとりの人間として想いを伝えている。
今回の結果を押し付けるのではなく、一緒に背負おうとしている。
家族のような温かさという形容はここから生まれているのではないかと思った。
もしかしたらブーイングをした方が、選手はある意味開き直れたかも知れない。
失敗を犯した相手を非難するのは簡単だ。
でも自らに置き換えれば、自分のミスで仕事がなくなったのに咎められるどころか、
また一緒に頑張ろうと言われているようなものではないだろうか。
言う方も言われる方も自責の念に駆られたはずだ。
それでも私たちは選手たちと共にこの結果を受け止めて前に進もうとしていたのではないだろうか。
日曜日に開催された清水戦、降格という結果を受けての試合だったが、IAIスタジアム日本平には1200人ものサポーターが集結した。
しかし前半は清水の勢いにのまれてしまい、何もさせて貰えなかった。
こんなに苦しいハーフタイムはなかったが、
終わってみれば後半3得点で2点差からの逆転勝ち、四年ぶりの3連勝。
猛然と迫ってきた清水に押されっぱなしの前半だった分、後半のスタミナ切れは明らかだった。
それでもこの結果は偶然でも運でもなく、
選手と私たちの諦めない想いの勝利だったと思う。
苦しい時は支え合う、嬉しい時は共に喜び合う。
どんな苦境でもお互いを想いやる気持ちを忘れなければ、このチームはきっと一緒に乗り越えられる。
新潟らしさを忘れなければきっと大丈夫。
そう思えた試合だった。
明日の最終戦を来年に繋げられるように、
2017年シーズン最後の試合をこの目にしっかりと焼き付けたいと思う。