マチココロ

サッカー観戦と本業のお掃除、新潟のよいところを綴っています。

Jリーグ アルビレックス新潟

酒井高徳の戻る場所

2019年8月14日。
酒井高徳選手のヴィッセル神戸への完全移籍加入が発表された。

高徳が日本に帰ってくる。
そのニュースを心の底から喜べない人間がいた。私もその1人だ。

遡ること4ヶ月前、私は夫と一緒にドイツに向かっていた。異国でプレーする高徳の姿をこの目に焼き付けるためだ。
ドイツのハンブルクにあるフォルクスパルクシュタディオンは私が思い描いたヨーロッパのサッカースタジアムだった。

小さなハンドバッグ程度しか持ち込めない手荷物と、厳重なボディチェック、周囲を埋め尽くす警官隊、

平日にも関わらずスタジアムを飲み込む5万人のサポーター、

そして何も聞こえなくなるような厳しいブーイング。

昇格のために勝たなければならない、しかし足踏みが続きピリピリとしたハンブルガーSVのサポーターと、昨年まで1部に所属していたハンブルガーSVを討ち取ろうと高いモチベーションで選手を鼓舞するマグデブルクのサポーター。4部から大躍進で2部まで昇格してきたマグデブルグにとっては順位に関係なく、自分たちの力を見せてやりたいと強い気持ちでこのスタジアムに乗り込んで来ていた。

両者の異様な空気とタバコの煙に包み込まれるスタジアムで高徳は闘っていた。

この試合に関して言えば、ハンブルガーSVは昇格への重圧から動きが悪く、高徳自身も空回りしてしまっていた。周囲の選手に懸命に声をかけ、指示をしていたが好転しない。
後半途中で退いた高徳へはスタジアム全体から厳しいブーイングが浴びせられた。味方のサポーターからの大ブーイングである。プレーが良くなければ味方だろうが毅然と態度に示すハンブルガーSVのサポーターに私は驚きを隠せなかった。
きっとアルビレックスのサポーターならコールで送り届けただろう。スタジアム全体から突き刺さるブーイングを高徳はその背中で受け止めていた。

試合は後半ロスタイムでマグデブルクにゴールを決められ敗戦した。17位に沈むマグデブルクに敗戦したことはハンブルガーSVにとって痛恨だった。2018-2019年シーズンは勝ち点1差に泣き、ハンブルガーSVはプレーオフに進むこともできなかった。

シーズンオフの間、高徳は昇格を果たせなかったクラブの中で批判の的になってしまっていた。

もちろん、バッシングをするサポーターばかりではなかっただろう。それでも、彼の中には日本への帰国という選択肢も模索していたはずだ。

彼は自身の書籍 W~ダブル~ にてこのような言葉を綴っている。

現役の最後はアルビレックス新潟の力になって終わりたい、という想いがある。そのタイミングがいつなのか、どのような形で戻れるのか、分からない。ただ、僕を旅立たせてくれたあのスタジアムや練習場、ファンサポーター、スタッフのみんなと再びいっしょに闘いたい。それは新潟を離れた時と変わらず、ずっと僕の中にある忠誠心だ。

W~ダブル~より引用

アルビレックスはこの夏のオフで長年チームを支えてきた2人の選手が期限付き移籍した。

彼らの抜けたポジションから考えたときに、高徳が帰ってきてくれないかと、にわかに期待している自分がいた。けれど現実は帰りたい選手が戻ってこれないという事実が、今のアルビレックスなのだと突きつけられた。もしJ1に所属できていたら、クラブを取り巻く環境も変わっただろう。

新潟から世界へ羽ばたき、7年半もの間ヨーロッパで闘い続けた高徳。そんな彼にアルビレックスへ帰るという選択肢を持たせてあげられなかったのが悔しくてたまらなかった。

ヴィッセル神戸さんには申し訳ないけれど、私はクリムゾンレッドのユニフォームをまとった高徳の応援でスタジアムに行くことはないと思う。彼が憎いからでも、ヴィッセル神戸さんが憎いからでもない。
私が悔しくてたまらなくなるからだ。

私はこの悔しさを噛み締めて、今週もアルビレックスの応援に向かう。悔しいなら今の現実を破るしかない。

いつの日か、どんな形になるか分からないけれど、彼がアルビレックスに帰って来てくれるよう、強く大きくなりたいと思った。

再びいっしょに闘えるように。




-Jリーグ, アルビレックス新潟

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マチ神奈川県川崎市在住、東京都調布市出身。
新潟に無縁だったアルビレックス新潟サポーター16年目、家事代行会社入社8年目。
サッカー観戦、本職のお掃除、サポーターとして経験したこと、新潟のよいところを書いてます。