2019年6月22日。
金沢戦の敗戦で気持ちが沈む中、信じられないニュースが飛び込んで来た。
昨年アルビレックス新潟の一員として闘ってくれたターレス選手の死である。
Ainda chocados com a notícia do acidente, lamentamos profundamente o falecimento do atacante Thales Lima de Conceição Penha.
Desejamos muita força aos familiares e amigos neste momento difícil. pic.twitter.com/EBzBYFabNF— Vasco ◤✠◢ (@VascodaGama) 2019年6月22日
私自身もニュースが飛び込んで来た直後はどういうことなのか、なかなか事態を飲み込めなかった。
私のTwitterのタイムラインは、瞬く間に彼への哀悼の言葉でいっぱいになった。
画面をスクロールし続けても、止まらない。
時間を追うごとに様々な公式サイトがニュースを報じるようになり、彼の死は本当なのだと思い知らされた。
彼がアルビレックス新潟でプレーしたのはわずか1年だったかも知れない。
しかし、彼はあの苦しい2018年シーズンを一緒に闘い続けた大切な仲間だった。
今の気持ちを文字にしたところで決して気持ちは晴れない。
そんなことは分かっている。
それでも彼がアルビレックス新潟サポーターに愛されていたことをこのブログに留めておきたいと思う。
ブラジル ヴァスコ・ダ・ガマよりターレス選手の移籍加入内定をお知らせしました。恵まれた体格でゴールを狙うストライカーのターレス選手は、年代別ブラジル代表に選出された経験もあります。新潟の勝利のために共に戦いましょう!https://t.co/dcehgizIM6 #albirex
— アルビレックス新潟 (@albirex_pr) 2018年1月19日
2018年1月18日にターレスの加入が発表された。
リリース直後からターレスが「問題児」と呼ばれていることを知り、どんなに怖い選手が来たのかとどちらかというとそわそわしていた。
ユニフォームを纏った彼の内定会見の時の写真がこちらである。
今日はターレス選手、アレックス ムラーリャ選手の移籍加入内定会見が行われました!「アルビレックスがJ1に戻るために全力を尽くす」と、二人とも意気込み充分。ピッチで躍動する姿が、今から非常に楽しみです!
※両選手とも明日6日(火)から高知キャンプに合流予定となっています。#albirex pic.twitter.com/Ms8Z4WfuD2— アルビレックス新潟 (@albirex_pr) 2018年2月5日
想像以上に強面な選手。それが私の第一印象だった。
そのターレス選手が「自分は点を取ることが仕事。25〜30ゴール決めたい。」と会見で言った時は、本当にやってくれそうな気がした。
勝手に私は彼が1人で相手をなぎ倒して力技でゴールにねじ込んでいく姿を想像していた。
しかし、その想像は違っていたと開幕戦で知ることになる。
彼は開幕戦の讃岐戦で初出場した。
まだその時は体を絞れておらず、「ターレスチャレンジ」という言葉が広まるほど、プレーしていて体が重そうであったが、その開幕戦での彼の印象的なプレーが、試合終了間際に坂井大将選手に出した決定的なパスだった。
ゴールを取りたいと言っていた選手がチームの勝利のためにパスを出す。
私の中で「問題児」という言葉が払拭された瞬間だった。
それから彼はコンスタントに試合に出続けた。
なかなか90分走り続けることが難しく、フル出場は少なかったかも知れない。
それでも彼のプレーはとても印象的だった。
2018年4月18日の来日初ゴールとなったルヴァンの仙台戦もPK失敗から再び得たチャンスを今度こそものにしたゴールだった。
一度失敗していたにも関わらず、ターレス選手がボールを離さなかったから渡邊新太選手が譲って生まれたゴールだった。そんなエピソードもサポーターから愛される理由の一つだろう。
2018年9月29日の岡山戦の決勝ゴールは今でも目に焼き付いている。
あの時も彼は周りを見て、仲間にパスを出していた。
Jリーグ2部で34試合で4得点は華々しい成績とは言えなかっただろう。
クラブとしても戦力強化費を5億円削らなくてはならず、ターレスと契約を更新することは出来なかった。
それでも彼が「問題児」ではなかったと証明するには十分だったと思う。
彼はアルビレックス新潟サポーターに愛されていた。
彼は選手からも愛されていた。
ターレスが亡くなったと…
悲し過ぎる。早過ぎるよ。ご冥福をお祈りします。 pic.twitter.com/JlzJtZpLLM
— 小川佳純 (@zumiogawa) 2019年6月22日
なんでだよ…
移籍前は問題児だって聞いてたけど全然そんなことなくて照れ屋で優しかった。
強面だけど笑顔が可愛かった。
岡山戦のゴールや一緒にプレーしたこと忘れないよ!Eu lhe ofereço as mais sinceras condolências neste dia triste.
R.I.P. Thales pic.twitter.com/az60afADzA
— 矢野貴章 (Kisho Yano) (@Kisho_Yano_) 2019年6月23日
彼の優しい笑顔を見ていると涙で視界が霞んでくる。
昨年、アルビレックスのために闘ってくれた選手は、
日本にも、そして地球の裏側の母国にも、もういない。
この世界のどこにもいないんだ。
人の死を目の前にして私たちは無力だ。
でも無力で打ちひしがれている私の目の前には明日への道が続いている。
その道を私は毎日精一杯歩き続けるしかない。
自分の中の感情がぐちゃぐちゃでも前に進むしかないんだ。
彼の大きな背中がつけていた「11」は、共に闘っていた新太が背負っている。
きっと選手たちもつらいだろう。
だからこそ想いを分かち合い、目の前の窮地に立ち向かわなくては。
1つでも多くの良い報告ができるよう、とにかく全力で今シーズンを闘い抜きたいと思う。
スタジアムで闘うことができない彼の分まで。
写真提供:@24_yoshinobu